この前、リサイクルショップで中古のウォークマンを買った。
中古とは思えないくらいそいつは綺麗で、音質もよかった。
俺はいい買い物をしたとおもっていた。




ただそいつは、ちょっとよく聞こえすぎるウォークマンだったらしい・・・・





―――Walkman―――






俺は別に霊感とかがある訳じゃないし、小説の書き出しとかでもよくある「普通の男子高校生」だった。
水洗便所から流されていきなり魔王だったりとかいきなり死神になったりする訳でもない。

けど、つい先週買ったコイツが、俺を摩訶不思議な世界に連れて行く事になる。
いや、異世界に行ったりはしないんだけど。





ことの起こりは約一時間前。
俺はいつも通りこの前買ったウォークマンでお気に入りの歌手の音楽をかけていた。
一枚分のアルバムが終わり、MDを替えようかと、して立ち止まる。
通学用のバッグから、中々他のMDが出ず、苛々して今まで歩いてきた歩道の端のフェンスによりかかり、小さく舌打ちした。

ようやくMDが出て、安心する。
ウォークマンに手をかけたときだった。




「よ、流星。」

いきなり声をかけられ、驚いた

自分でも驚くくらいに、マンガみたいにバサッと手に持っていたMDを落とした。

MDが地面に落ちて「カラン」と音をたてる。
我ながら阿呆らしい。

話しかけた張本人は、つい一ヶ月ほど高校に入学した際に、同じクラスになり、それ以来仲のいい野田 昴だった。



「なんだ、昴じゃん。」
「なんだとはなんだよ。しかもその疑うような目はなんだ!?」
「お前もなんだって連呼してるし。」

落としたMDを拾い上げながら

「お前ん家、こっち方向じゃねぇじゃん。しかも自転車通学だろ?」



「まぁな。」

「じゃぁ、なんで・・」
「おもしろいとこ連れて行ってやろうと思ってさ。」

「おもしろい・・とこ?」


コイツとはまだ、話すようになって二ヶ月弱だ。






しかし、その二ヶ月弱で、はっきりしたことが二つある。

コイツはいきなり素っ頓狂な事を言い出すやつだった。



「そ、おもしろいとこ。」
「悪いけど、そういうのは休みの日とか」
「なんだよー。ノリ悪いな」



そして、その話にのってやらないと拗ねる。


「あーはいはい。分かったよ。どうせそんなに遠くないんだろ?」

「そうそ、入り口はかなり近いからさ。」




ん?入り口は・・・?


 


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